2017年8月3日木曜日

ソフトバンクのARM買収に死角あり!?

3.3兆円という高額な額でARMを手中に収めたわけだが、ARMの2015年の利益は、3.4億ポンド(約480億円)程度だ。
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/ARMH
これがそのまま続けば、3.3兆円をペイするのに、70年近くかかる。

もちろん、今後の成長を見越しての買収だが、今後はどのような収益をたどるだろうか?ラフにかつ精度よく考えてみたい。

今後IoT時代になり、多くのデバイスが通信機能を持つようになる。車、信号、街灯、家電、温度計、体重計、などなど・・・。その数は、1兆個とも期待されています。これらのデバイスには、少なからず頭脳が必要で、ここにARMのライセンスが載ってきます。

現在のARMのライセンスが使われたデバイスの出荷台数は、148億個と言われています。
http://www.sbbit.jp/article/cont1/32497
これが、100倍近くになる、というのです。

IoTデバイスは、かなり低コストです。モノにもよりますが、1デバイス500円などです。この価格帯で、もし今まで通り、ARMが10円程度のライセンス料を取っていたら、IoTデバイスのビジネスは成り立ちません。やはり、1/10くらいには市場の圧力がかかるでしょう。

ただ、100倍の出荷量で、1/10のライセンス料ですから、現在の10倍は収益は得られます。また、ライセンス料、ロイヤリティ料なので、利益率は数がでればでれほど上がっていく可能性が高いです。

現在の480億円の10倍+αが、年間の収益となります。5000億円としましょうか。
これなら、たった6年強で3.3兆円のもとが取れてしまいます。

ただ、ここに盲点があります。

① 
IoTデバイスは、長寿命が要求されます。10年とか20年とかです。
つまり、1兆個は一度しか現れない、ということです。
すると、10年とか、20年とかで、5000億円の収益、ということになります。


ARMは調達した資金でサーバー側も取りに行こうとしています。
サーバーは、インテル独占だったわけですが、将来のサーバの覇者は、ARMでもインテルでもありません。量子コンピュータになります。
サーバーへどのような投資をしているか不明ですが、現在の半導体の延長戦にはない、ということです。


IoTデバイスの多くは、中国で使用されるものになるでしょう。
中国では、ライセンス料、ロイヤルティというものが軽視されます。
中国市場からは、収入が得られないこともあるかもしれません。
また、中国も半導体企業が出始めています。
彼らもプロセッサの開発をするでしょう。IoTのようなそれほど処理速度が求められないデバイスは、独自のものを使うことも考えらえます。

またアップル、アマゾン、グーグルなどの大手企業は、プロセッサにまで手を伸ばすかは不明ですが、内製の半導体に興味をもっているようです。

これらを鑑みるとちょっと高い買い物であることがわかります。

ただ、他の事業とのシナジーは現れてくるでしょうから、そういった直接利益に結びつかなり恩恵は大きいと言えるでしょう。

※ 投資判断はご自身で。

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